2005年03月12日

ポジティブ・ファクトという福音〜「一億総マーケター時代の聞く技術」

先日、”良い書評サイトはないだろうか”と書いたが、ここしばらく参考にさせていただいているのが「情報考学 Passion For The Future」だ。
橋本さんが紹介している本と、私が読んだ本や気になっている本との重なりがかなり大きく、数ある書評の読めるweblogの中でももっとも完成の一致度が高いように感じる。
本書は、その中で知った一冊。
ちょうど、新たな事業企画のために顧客調査をしている最中なもので、1ページ1ページが貴重なアドバイスとなっている。

顧客の声を聞く、というのはビジネスにおいて誰も否定できない価値ある行動のひとつとされている。けれど、顧客と接してその声を聞いているうちに、”本当にこれは価値ある声なのだろうか?”という疑問を持ったことがあるのは、私だけではないだろう。
さらには、顧客の声は顧客によって千差万別、すべての声に答えることは不可能であることなど、仕事に就いていればすぐに理解できる。それでも、顧客ターゲットの絞り込みと重点化すること、あるいは特定の声をあえて無視することは、非常に難しい。

本書を読むと、無視して良いことと重視すべきことが極めて明確に区分されている。
顧客の「意見」ではなく「事実」を重視する、ポジティブな事実をより分けて受信すべきで、ネガティブな意見にとらわれるべきではない。これが著者から私たちマーケターへの力強いメッセージだ。

橋本さんも指摘しているとおり、本書はSOHOや起ち上げ間もないベンチャーだけでなく、大企業のマーケティング担当者にとっても非常に有効な手法を提示してくれている。
さすが、多様な企業を相手に顧客の声を仲介し続けている「ドゥ・ハウス」のかたが書いているだけのことはある。個々の記述もわかりやすい実例のおかげで理解が容易だ。

eメールやWEBサイトはマーケティングのツールとしての認知は十分に広がったといって良い。最近では、weblogへの注目も高まっている。しかし、その使い方についてはまだまだ手探りという企業が多いのではないか。私自身も、未だにトライアル&エラーの段階にある。
本書は、そんな迷えるマーケターにとって実用的な指針となるものと思える。手軽に読めるが、内容は非常に濃い。マーケティングに関わるすべての方にお勧めしたい。

 一億総マーケター時代の聞く技術〜「明日の売れ筋」をつかむプログラム
 喜山荘一 著
 阪急コミュニケーションズ 刊

Posted by dmate at 2005年03月12日 10:10 | TrackBack
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