2004年06月23日

出張時新幹線の心得とは?

毎週のように新幹線に乗り出張をしていると、移動中の車内をいかに過ごすかがけっこう重要になってくる。とはいえ、着替えたりとか靴を脱いだりといった話ではない。車内での過ごし方や姿勢に関わるちょっとした心がけ程度の話だ。
早朝の移動も含めて、私は新幹線ではあまり寝ないようにしている。たとえば8時の新幹線に乗って名古屋へ移動し、10時からの打合せに出席するとしよう。新幹線の中で眠ってしまうと、打合せには目が覚めてから30分といった体調で臨まねばならず、これでは頭と身体が覚醒して働けるようになる頃には昼食時間になってしまう。わざわざ長時間移動して参加する打合せなら、万全の体制で臨みたいと思うのが当然だと思うし、それゆえ私は新幹線の車内では滅多に眠らない。これは朝の移動に限らず、日中でも同じだ。

眠らないのと同じような理由によるのだが、背もたれについてもほんの少ししか倒すことはない。これから仕事をするというのに身体と精神の緊張を緩めてしまうのは、ちょうどエンジンが冷えたままで無理矢理高速運転をするようなもので、とても効率的とは思えない。背もたれを倒してリラックスしすぎると、せっかく覚醒した頭は再び弛緩してしまうと考えているのだ。
良く、乗った途端に背もたれを最大まで倒して一刻も早く睡眠体制に入ろうとする人を見かける。ネクタイを締め、明らかにこれから会議や商談に向かうようなのだが、車内ではひたすら緊張を緩めきって過ごすことにしているかのようだ。私自身の経験上、これでは肝心の時間には十分なパフォーマンスは発揮できないと思うのだが、あまりに”車内睡眠組”が多いので私のほうが異常なのかと思ってしまうほどだ。
中には、背もたれを倒すだけ倒して腕を伸ばしてスポーツ新聞を読んでいる人がいるのだが、明らかに目や肩が疲れるし腰にも負担がかかっていそうで、この人はこれからやる仕事などどうでも良いのだろうかと心配になる。出張してきてちっとも集中力がない同僚を見ると、「どうせ新幹線で寝てきたんだろう」とも思う。

新幹線では背もたれはあまり倒さず、少なくとも往路では眠らない。これが私の出張時の信条だ。旅行ならばともかく、仕事での移動なのだからそれほど威張る話でもなく、当たり前のことだろうと思う。
この他にもいくつかある。車内では座りっぱなしではなく、何度かは必ず立ち上がって歩くようにしている。必ずしもトイレに行きたくなるわけではないが、2時間前後も同じ姿勢で座っているのは身体に良くないし、血行も悪くなりがちだ。デッキ部まで行って帰ってくる程度でどの程度の効果があるかはわからないが、ないよりはかなりマシだろう。
もうひとつは、水分を意識して採ることだ。お茶やスポーツドリンクなどを欠かすことはまずない。
いってみれば、エコノミー症候群にならないための心がけとほとんど変わるところはないのだが、2時間とはいえ基本的には同じことだろうと思う。

車内のでの心がけとしては以上だが、もうひとつ重要なことがある。周囲に人がいない状態でない限りは、車内では会社の書類を広げないことだ。
2時間もあると、どうしても車内で会議資料などを確認する時間に充てたくなるのが当然の人情だ。事前に準備ができなくてもこれだけの時間があれば書類に目を通して問題になりそうな点をチェックしておくことができる。
しかし、忘れてならないのは、隣に座っている人物がライバル企業の社員かもしれないということだ。不用意に機密書類を広げるのは非常に危険なのだが、ときおり驚くような書類を広げているのに出くわすことがある。私が経験した中では、採用面接の合否判定を車内でやっていた某メーカーの社員、取引先ごとの債権残高表を眺めていた某銀行員、そして合弁新事業の企画書をチェックしていた某企業の社員など、信じがたいものばかりだ。当然、会社名もわかっている。昼食時やビルのエレベータ内で仕事の話はしない、というのは企業に勤める者にとっては鉄則のひとつだと思うが、新幹線車内で機密書類を広げない、というのも指導すべきではないだろうか。
もちろん、空いている車内で、しかも機密性の低い資料ならば読んだり作成したりというのも良いだろう。要は”きちんと判断しての行動なのか”ということが重要なのだ。
もちろん「勤務時間中に移動しているのだから、車内では仕事をするのが当然だ」という意見もあろう。それを否定するつもりはない。
しかし、仕事をするにせよ内容はきちんと吟味して、自社の事務所内ではなく公共の場でも問題のないものに限るべきだ。少なくとも、車内で機密書類を眺めるような人物を、私は仕事の上で信用することはできない。

こんなことを書いたのは、新幹線車内でぐっすりと眠り込んだり、機密(と思われる)書類を広げる人が非常に多いからでもある。
習慣になってしまって全く疑問を持っていないかたも多いのかもしれないが、もしかすると「わざわざ出張してきたくせに眠そうにして、この人は何しに来たんだ?」と思われているかもしれないし、業務上の重要な情報をライバル企業にご披露してしまっているかもしれない。出張の移動は仕事であり、移動の車内は公共空間だということを、私たちはもっと強く意識すべきだと思うのである。

Posted by dmate at 2004年06月23日 20:27 | TrackBack
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