2004年06月04日

とにかく持ち歩きたい!

こういっては身も蓋もないのだが、私がかなりの新しもの好きであるのは間違いない。特に携帯できるサイズのノートPCについては、新機種が出るたびに興奮気味にあちこちのWEBサイトを渡り歩いては使い勝手の評判を確かめ、ここが素晴らしいとかちょっと実用的じゃなさそうだとか言っては妻をやきもきさせている。彼女にしてみれば、次から次へと新商品を欲しがられてはたまらないだろう。

もっとも、売れっ子ライターのスタパ齋藤氏のように「収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込」むことなどどだい無理な話で、結婚してからの8年間で購入したノートPCは3台だけだ(スタパ氏に関する記述は「ケータイWatch」の「スタパトロニクス」の著者紹介文より)。買ったのは順に東芝の初代リブレット、ソニーのバイオ505EX、そしてIBMのThinkPadX31だ。すぐお気づきの通り、だんだんと大きく重くなってきているのが目下最大の悩みで、携帯性とパフォーマンスと快適な操作感をバランス良く兼ね備えたノートPCを求めると、少し大きめになってしまう。ちなみにリブレットの前が同じく東芝のダイナブックSS450、コンパックのContura Aeroと、これら5台と妻が使っていたフロンティア神代版のチャンドラが、私が購入したノートPCの全てだ。いずれも携帯に適したマシンばかりで、同じような購買履歴をもつ方も多いのではないだろうか。

パソコンを持ち歩きさまざまなところで使いたいというニーズは根強いものの、決して世の中の多数派ではないようで、携帯型の小型PCは魅力的な商品が登場しては消え去り、しばらくするとまた出てくる、といった状態を繰り返している。
リブレットやVAIO 505のように、突然それまでの常識を覆す新たなコンセプトの商品が出現するのも、このジャンルの特徴だ。こうした商品では、多くの場合発表と同時にさまざまな情報が飛び交って期待が高まり、発売直後には入手困難なほどの売れ行きとなる。おそらく市場の小ささから供給量も限られていたのだろうが、超小型ゆえの生産の難しさもあって増産が困難なのかもしれない。
さて、2004年は、携帯PCを愛するものにとっては久しぶりの”当たり年”といえそうだ。
パナソニックからは990gの軽量で9時間ものバッテリー駆動が可能なLet'snote R3、着実に新機種が投入される富士通LOOX Tシリーズのリニューアル、ソニーからは”大きなPDA”とでも呼べそうなVAIO Type Uなど、次々に魅力的な新機種が投入されている。

私はなぜパソコンを持ち歩きたいのだろうか?
もちろん、旅行中や出張中でも普段と同じようにメールの送受信ができること、仕事でも書類ではなくデータを持ち歩いて必要な時にすぐ参照できること、つまらない会議中は内職にいそしむことができることなど、具体的なメリットはいくつも思いつく。けれど、こうしたここのメリットを勘案して携帯できるサイズのパソコンを買ってきたわけではない。どちらかといえば、「ほしい」という感情が先に立ち、パソコンが持ち歩ければこれもあれも可能になる、という理由付けをしてきたというほうが正しい。
文房具が好きで「ビーツール・マガジン」を愛読していた私には、何らかのツールが自分の知的生産性を高めてくれるのではないか、という期待が常にある。知的生産性といってもたいそうなものではなく、なんらかの文章なり企画書を作りにあたって関連する資料を検索し、参照し、場合によって引用・加工するといった作業の効率を向上したい、という希望だ。表やグラフ、チャートなどを使った企画書を作成することの多かった私には、多くのリソースを参照・加工する生産性向上ツールは、同じ仕事を圧倒的に短時間でこなせる魔法のような価値があったのだ。単なる”計算機”や”清書機”ならばオフィスにあれば事足りる、しかし、個人の生産性向上ツールならば、常に携帯していつでも使えることが望ましいのは当然のことだ。私にとってパソコンを持ち歩くことは、妖精が魔法の杖を肌身離さないのと同じなのだ。極論すれば使う、使わないは関係ない。

長い間、ノートPCとデスクトップPCとの間には使い勝手の面でもパフォーマンスの面でも歴然とした差があり、望ましいパソコン利用環境を持ち歩けるという状態には達していなかった。ノートPCという選択は、パフォーマンスと価格の両面での我慢を強いられるものだったのだ。私自身がもっともパソコンという”モノ”を求めていた時期にどうしても得られなかった、”デスクトップ並みに使えて、しかも毎日携帯できるパソコン”は、今になってようやく現実になりつつある。
もちろん今でも価格差は残っているが、少なくともノートPCであるがゆえのパフォーマンス面での格差は極めて小さくなっている。かつては持ち歩き用の杖では使える魔法に限りがあったのに対して、今では(少なくとも私の用途に限れば)同じ魔法が使えるようになってきた。となれば、今度はより軽くて使いやすく、バッテリーで長時間使えるものを求め始めるのが当然の流れ。未完成であるゆえの魅力は、PDAだけでなく携帯型の小型ノートPCについてもまだ残っているように思う(さらには自作PCにも同様の楽しさがあったものの、最近では自作PC自体が一般化しすぎてしまったように思える)。

現時点でもFlipStartに期待していることは間違いないのだが、愛機Zaurusのシャープからも新たな小型PC、メビウスPC-CV50F/FWがアナウンスされている。
すでに市ヶ谷のショールームでは展示されているようで、「PalmOSLove庵」でいち早いレビューを見ることができる。こうしたマシンのキーボードやポインティングデバイスの使い勝手は触ってみなければ判断できないものだけに、こうした実機でのレビューは実にありがたい。手放しで賞賛というマシンではないようだが、相性もある(とはいえ、現在ThinkPadのキーボードを毎日使っている上、パッド式のポインティングデバイスにはなじめなかっただけに、おそらく私には少々使いにくいのではないかと予想している)。
次々に登場する新機種を全て買うことなどできないし、一度買ったら2〜3年はきちんと使いたいと思う。願わくば、数年後に私がPCの買い換えを検討する時にも、今のように多くの選択肢が残っていてほしいものだ。

Posted by dmate at 2004年06月04日 23:04 | TrackBack
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