2004年05月10日

超小型携帯WindowsPCへの期待

以前のエントリーで、私が本当に待ち望んでいるのはPDAサイズのフル機能PCだと書いた。そこで触れた海外で参考出品されている小型PCのひとつに、Vulcan社の「FlipStart」があり、シアトルで開催中の「WinHEC 2004」で操作できるサンプルが展示されたという。出荷は今年の終わり頃ということで、順調なら年末のクリスマスシーズンには実物にお目にかかれるかもしれない。

このマシンはCPUにTransmeta社のCrusoe/1GHzを搭載、256MBのメモリと30GBのハードディスクを持つ本格的なPC、WindowsXPが動作する。Crusoeは一時小型のノートPCにかなり多く採用されたCPUだが、動作スピード面で弱みがありPentiumMの登場と共に姿を消しつつある。今回採用されている1GHz版は登場初期のものよりスピード面での改善も進んでいるようで、実際に使ってみなければ判断はできないが、実用的なスピードでWindowsが使えれば私の理想のマシンにかなり近い存在となりそうだ。

キーボードはいま使っているSLシリーズのZaurusに近いようだが、こればかりは実際に使ってみないと判断できない。
Windowsを起動しなくてもMP3ファイルの再生ができるほか、蓋についた小型の液晶画面でOutlookのスケジュールデータやメールの閲覧が可能ということだ。視認性にもよるが、PDA代りになる可能性はある(少なくとも携帯電話によるスケジュール閲覧機能の代りにはなるだろう)。

私がこのマシンを入手でき、日本語OSがインストールできたとして、どんな使い方ができるだろうか?
私が前のエントリーで書いたPCの主たる用途は次のようなものだった(カッコ内は主に使用しているアプリケーションソフトだ)。
 1.メールの送受信(Becky!)
 2.WEBの閲覧(Opera)
 3.テキストの作成(秀丸エディタ)
 4.フォトレタッチ(Nikon Capture,Photoshop)
 5.weblogの更新(管理ページよりWEBブラウザで)
 6.WEBサイトの更新(Dreamweaver)
これにOutlookによるPIMが加われば、仕事以外の用途はほぼ網羅されるといって良いかもしれない(もちろん、これら以外にも細かなものはあるが)。これらのうち、FlipStartを使い出先でやることといえば、頻度の順に1,3,2,5の4つが中心だろう。さらに絞りこめば、前の2つで用途の70%にもなる。
実をいえば、これら4つならばSLシリーズのZaurusでもまかなえるのは確かだ。ただ、Zaurusには現時点で解決できない欠点もいくつかある。
ひとつは前回も書いた通り、メールクライアントの使いにくさだ。PCでBecky!を使っている身にはかなりつらい。常用はできないというのが正直なところだ(標準のメールクライアントを使うくらいなら、私ならプロバイダが提供しているWEBメールサービスを選ぶ)。
もうひとつはテキスト作成時の大きな問題、かな漢字変換の能力の低さだ。私はPCにおいてはかれこれ10年以上ATOKを使い続けており、Zaurusのおそまつな変換機能にはイライラとさせられることばかりだ。できるだけ頻繁に、多くのテキストを作成しようとすると優秀なかな漢字変換機能の存在は不可欠だ。PoBoxという代替案もあり使ってはいるものの、なかなか慣れることができない。
最も重要な2つの用途において致命的ともいえる問題をもつだけに、改善が進まないままにFlipStartのようなWinodwsPCが登場したなら、私は我慢できないという確信がある。
一方でZaurusにもアドバンテージがある、TypeII対応のCFカードスロットの存在だ。CFカードスロットがPHS通信カードを装着するのは日本独自なのだろうし、小さな筐体にカードスロットを設置するのは無理かもしれない。いろいろと詰め込めば結局はVAIO Uシリーズと同じ大きさになってしまうのだろう。

大いに期待できるFlipStartだが、スペックをみる範囲でも不安な点はいくつかある。
まず、バッテリの持続時間は2時間ということなので外出先での利用は難しそうだ。外付けのバッテリなどでしのげるかどうか気になる。新幹線での移動や空き時間に使うことを考えると、倍の4時間が望ましいところ。
次いで、メモリが256MBでは不安があるのも事実だ。私が会社で使っているノートPCのメモリ搭載量は256MBだが、Windows2000でかなりストレスがたまる場合がある。可能ならば512MBの仕様があればとは思う。
500gに満たない小さなPCに1.5kgのノートPCと同じ性能を求めることにはもちろん無理がある。超小型サイズを得るためには割り切りも必要だ。電子メールクライアントとテキストエディタ、この2つのアプリケーション専用と割り切れば、Zaurusを越える快適な環境が実現できるかもしれない。
CPUが早くなるばかりではない、新たなコンセプトを提示してくれる新商品、本当は日本のメーカーから示してほしかったのだが...

この原稿を作成した翌日(5/10)、ソニーから世界最小のWindowsPCとしてVAIO Type Uが発表された。
新コンセプトの提案は大歓迎、けれど、テキスト作成が主たる用途の私にとってはキーボードレスのこのマシンは購入検討の対象外。ただ、動画とWEBのコンテンツビューアとしてはかなりわかりやすい商品じゃないかと思う。
これで、従来の超小型ノートPCとしてのUシリーズ復活はほぼ消えたわけで、私としてはATOK for Zaurusと使いやすいメールクライアントの登場を待ちつつ、FlipStartに期待、という姿勢に落ち着きそうだ。

Posted by dmate at 2004年05月10日 21:04 | TrackBack
Comments

コンニチハ、Vins-Tです。Trackbackありがとうございます。

 モバイル機器は用途がはっきりしていると選択しやすいですよね。取捨選択の「取」も「捨」もやりやすいですね。

 で、ちょっと思ったんですが、上に挙げられている用途なら、リナザウよりもSigmarion3の方が向いているんじゃないでしょうか?Qmailも使えるしAtokも使えるし。
 CFカードスロットとバッテリーライフの問題も考えれば、FlipStartよりもSigmarion3の方がいいような気も(^^;

 と言うわけでこんなリンク

http://www2k.biglobe.ne.jp/~t_muto/sig3/#qmail

張ってみたり。

 余計なお節介を焼かせていただきましたm(_ _)m

Posted by: Vins-T at 2004年05月11日 11:04

実は、この件はけっこう痛い選択ミスだったかもしれないと思っているのです。
当初はPalmに代わるPDAがほしかったので、シグマリオンIIIのサイズは選択の外だったのですね。天の邪鬼なもので、WindowsCEなんか買えるか、という反感もありました。
使い始めるとPDAとしてよりもテキスト入力マシンとしての使い方が私にあっていたのを発見した次第です。
とはいえ、5〜6万円の買い物だけにそうそう買い換えるわけにも行きませんので、しばらくはZaurusとつきあっていこうと思ってます。
などといいつつ、やっぱりFlipStartは気になるのですが...

Posted by: dmate at 2004年05月11日 23:27
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