2004年04月27日

テーマパークで、何をする?

東京ディズニーリゾートの2つのテーマパーク、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの年間パスポートを持っているというと、かなり珍しがられる。一体そんなに何度も行って、何をするのだ、ということだろう。
いい大人が毎週のようにミッキーマウスに抱きつきに行っているとでも思われているのこもしれない(たとえそうだとしても、自分で稼いだ金だ、何に使おうとまあ勝手なのだが)。

両パークの比較では、ほとんどの場合、東京ディズニーランドの方が混んでいる。人気アトラクションも多いし、キャラクターもたくさん出てくるので子供たちにはこちらの方がずっと楽しいだろうことは容易に想像できる。
方や東京ディズニーシーにはアトラクションはそう多くなく(なにせオープンしてまだ2年半、これから増えて行くのだろう)、しかもキャラクターの登場は少ない。数少ない人気アトラクションは必ずしも子供向けではなく、平日などはかなりすいている。

で、私はといえば、もっぱら出掛けるのは東京ディズニーシーの方だ。
まずはそれほど混んでいないのが良い。歩くのにも苦労をするのでは、遊びに行くというより疲れに行くようなものだ。
また、新しく作られたパークだけあって、パーク内の建物や構造物が細部まで実にうまくできている。ディズニーがテーマパークを作る際にはパーク内の景観を細かくシミュレートして、どこにいても美しい光景が楽しめるように設計することは比較的知られているが、ここはその集大成といっても良いだろう(もっとも、ディズニー社が手を出せないパーク外の建物が見えてしまうところは、いくつかある。ほぼ何もない広大な土地にリゾートを建設したフロリダのウォルト・ディズニー・ワールドと比べると限界はある)。

東京ディズニーシーでの楽しみ方は単純だ。散歩をして、気に入った風景があれば撮影し、疲れたら休んでビールを一杯、そして食事である。ショーやアトラクションを楽しむことももちろんあるが、基本は散歩と食事をしに行っているといって良い。
このパークは平坦ではなく、非常に起伏が多い。また、東京ディズニーランドのようにシンデレラ城の前を横切ればどこからでも反対側へ抜けられるという構造にはなっておらず、ほとんどの移動はパークをぐるりと一周せねばならない。これが適度な散歩にちょうど良いのだ。もちろん、船や列車でポイント間を移動できる手段はあるので、疲れたら歩く距離を少なめにすることもできる。
撮影にももってこいで、他のゲストに迷惑にならなければ、どこをどのように撮影しても文句を言われることがない(もちろん他人を大きく撮影することはないけれど)のは気が楽だ。変わった形の建物も多いので、工夫次第では結構おもしろいものが撮れる。

各エリア(テーマポートと呼ぶ)にはレストランやラウンジなどがあって、ほとんどの場所では料理とともにビールやワインを頼むことができる。気に入った店をいくつか持っていれば、パークのどこにいても軽く休憩を取ることができるというわけだ。
特に2か所のラウンジには軽いおつまみもあるし、ビールだけを頼むことができるので(レストランでは料理とビールを一緒に頼まねばならない。ビールの追加は可能)、休憩にはもってこいだ。以前にも書いたが、ここには私の大好きなビールの一つ「サミュエル・アダムス」の「ボストンラガー」がある。このビールの存在が、私が東京ディズニーシーに行く理由の大きな位置を占めている。

食事もまたこのパークの大きな楽しみだ。
テーマパークのレストランは、カウンターで自分の好きな食べ物を注文するカフェテリアタイプのものと、テーブルサービスとがある。前者でも、後発のパークだけあって食事は非常においしいものが多い。もちろんセンターキッチンで下ごしらえされた料理を仕上げているだけだろうが、ファミリーレストランでも実感できる通り、この手の技術は大幅に進歩している。少しばかり味付けが濃いけれど、歩いて汗をかいた時にはこれくらいがちょうど良いのかもしれない。
テーブルサービスのレストランは全部で4つあって、いずれも入園後に時間帯を決めておきあまり並ばずに入れる”優先案内”の制度がある。これは指定の時間がきたらあいている席に優先して入れるようにします、といったもので予約とは違う(レストラン側の予想に反して長居する客が多ければ、当然待つことがある)。ときおり「予約したのに待たせるとは何事だ」と怒鳴りつけている人を見かけるが、もともと予約ではないので気をつけたい。

これらのレストラン、コース料理を頼んでも3,000円から6,000円程度と、まあやすいものだ。これにワインを一本追加して、大人二人で20,000円はかからない。たかが遊園地で食べるメシにしては高いじゃないか、という意見もあるだろうが、都心のごく普通のレストランで食事をしたって、同じくらいかかるだろう。しかも、内装も結構凝っているし、あまり格式ばる必要もない。Tシャツと短パンで良いのだから楽なものだ。入園チケットを買って遊ぶのだと、これに加えて5,500円かかる上、せっかくだからあれもこれも、と時間を一杯に使って遊びたくなるかもしれないが、そこは年間パスポートの強みだ、ワインでも飲みながら2時間かけてゆっくりと食事が楽しめる(もともと酒は好きだが強くはないので、これくらい時間をかけないとすぐに酔っ払ってしまう)。
ただ、このところ後述するホテルのレストランに行く回数が増え、パーク内でしっかりと食べることが少なくなってきているのがちょっと残念だ(まだまだ試していないメニューが多いのに!)。

東京ディズニーシーのレストランといえば、忘れてはならないのが併設されているほてる「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」の3つのレストランだ。
特に地中海料理の「オチェアーノ」はやすいビュッフェもあり連日かなりのにぎわいだ。老若男女が交じっていても、ビュッフェであればそれぞれが好きな物を頼めば良いので気楽だ。料理も結構いける。
ただ、ちょっとザワザワとしているので、私は奥の部屋でのコースメニューの方が好みだ。こちらはテーブル間隔も少し広くなっていて落ち着いた雰囲気で食事ができる(私は子供が騒ぐのはあまり気にならないのだが、子供を騒ぐままに放置したり、粗暴な言葉で叱り付けるだけの親を見るのが不愉快なのである)。
料理の方は当然ちゃんとしたホテルのメインダイニングのもので、毎回満足できている(もっとも、私はこの世で一番の好物が”切り干し大根”というくらいの貧乏舌なので、あまりあてになったものではない)。パーク内のレストランよりも少し値段も高く、ホテル内の施設ということで税金のほかにサービス料がかかり支払い総額は多くなるが、それだけの価値はあると思う。季節ごとに特別メニューが用意されるのも見逃せず、WEBサイトで新メニューが告知されるとつい予約電話をかけてしまう。エンゲル係数が上がり過ぎるのであまり付き合ってもいられないのだが。

こんなわけで、私は東京ディズニーシーにほとんど散歩と風景の撮影、そして食事とお酒のために出掛けている。テーマパークでの遊び方としては、結構お金のかかるほうではあるが、観光地へ出掛けて温泉に浸かり、名物を食べるのに比べたらそんなに高額でもないんじゃないだろうか。
テーマパークの中での東京ディズニーリゾートの一人勝ちがよく伝えられるが、それはミッキーマウスの存在だけでなく、こうしてさまざまな需要にきちんと対応できるよう、成長し続けていることによるものだ。ミッキーの人気ベースはその最初のドライバーであり主要な強みではあるが、すべてではない。
願わくば、東京ディズニーシーがこれからもそれほど混雑せず、今くらいの状態であり続けてほしいのだが、それは無理なのだろうなあ。

Posted by dmate at 2004年04月27日 19:34 | TrackBack
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