2004年04月22日

携帯電話でスケジュール管理

スケジュール管理の道具として、片手で簡単に操作ができる携帯電話は、両手での仕様が前提となるPDAに勝る。思いついたとき、備忘録やスケジュールをすぐにその場で入力できるだけではない。メールの送受信や目についたものをさっと撮影するなど、携帯電話で簡単にできる一方で、PDAには難しいことがたくさんあり、しかも多くの場合携帯電話の機能で用は足りてしまう。
「PDAコンソーシアム」に掲載されたエッセイの主張は、こんなところだろうか。それゆえ、PDA(エッセイ本文では「携帯端末」となっている)は携帯電話並みの操作性や、あるいはそれ以上の楽しさ、使い勝手の良さを実現しなければ、今以上の普及はしないだろうという問題提起と読める。なるほど、これは納得が行く。少なくとも、エッセイに登場する場面では。

エッセイの中で携帯電話がPDAに勝ると主張されている場面は、次のようなものだ。
・コンビニエンスストアで買い物の帰りに、小銭を借りていたことを思い出して備忘録に登録、アラームをセットする
・仕事中に持ち歩き、必要なときにアラームを鳴らす
・遠距離恋愛中の彼女から写真付きメールを受け取り、さっそく返信
読んですぐおわかりの通り、PDAよりも携帯電話の使い勝手が勝る場面を選んでいることがわかる。最後の電子メールについては付け足しとしても、前2者はいずれもスケジュール管理の話ではない、備忘録とアラームの話だ。備忘録であれば思いついたその時に入力できなければ忘れてしまうだろう(そもそも忘れるために書いておくのが備忘録だ)、アラームは常に身につけているものでなければ無意味だ。けれど、これがPDAのスケジュール管理機能の価値を無にするほどの意味を持つかどうかは、使い手によって大きく異なる。
著者はこう続ける。

たいていの人は、何月何日何時に何がある、ってことだけ分かればいい。ファイルのリンクだの、画像の貼り付けだの、付加機能は必要ない。簡単な携帯電話のスケジュール機能で事足りる。

ここでいう「たいていの人」がどこの誰を指すのか私には不明だが、少なくとも私の周囲では毎日のスケジュールには複数の打合せや顧客とのアポイントメント、整備すべき資料やTODOリストなどがつまっている人がほとんどだ。携帯電話でちょこまかと入力する程度ではないし、求めに応じてスケジュールの調整を行うのが日常茶飯事。こんな場合には、荷物を持って片手で操作できることよりも、週次や月次の予定が見通しよく把握できることの方がはるかに重要な意味を持つ。
一口にスケジュール管理といっても、次の約束や必要な行動を思い出すためのきっかけを重視する場合と、自分の仕事時間という資源の配分を考える場合とでは、重視する機能や求める使い勝手などが全く異なる。それをおしなべて携帯電話が優れているとか、PDAでなければダメだといってもあまり意味はない。もちろん、携帯電話は操作が面倒でPDAの方が簡単にできるといった水掛け論も無意味だ。

入力や修正に関しては、携帯電話よりもPDAの方が楽だし、さらにPC上で行うのはもっと簡単だ。しかし、特にPCはどこでも広げて使えるものではないから、入力/大修正と閲覧/小修正を分担したのがPalmシリーズが広く受け入れられたきっかけだ。
携帯電話は確かにいろいろな使い方ができるし、携帯性に優れ電池の持ちも良い。とりわけアラーム機能を有効に使おうとすれば、これ以外の選択肢はあまり思いつかない。ならば、携帯電話で十分こなせるスケジュール管理はそこで完結させればいいし、そうでなければPDAやPCとの組み合わせでもっとも快適な環境を実現することを考えても良いのではないか。

Bluetoothという機器間の通信機能はまだ十分に使われているとはいいがたいが、たとえばPDAと携帯電話を連携させれば、詳細なスケジュール管理と有効なアラーム機能とを両立させることは簡単だ。スケジューラが設定しておいた時刻にPDAが自動で起動し、携帯電話にアラーム信号を送る、携帯電話は信号を受け取ったら利用者が止めるまでアラームを鳴らし、PDAは自動で電源を切る。これが面倒な操作なく実現できれば、今よりずっと使いやすくなるのではないだろうか(繰り返すが、携帯電話の機能で事足りるなら、PDAを併用する必要はない)。
電子メールの送受信でも同様だ。携帯電話で受け取ったメールをBluetoothでの通信によりPDAに記録し、落ち着いた場所でゆっくりと見ながら返信(これならExcelのデータが添付されていても比較的快適に扱える)、もちろんPDAの操作で携帯電話がメールを発信してくれる、といった連携ができれば両者の利点を活かすことができるだろう。メモリーカードなどを介することなく、受信したデータや撮影した画像/動画などを転送記録することでその活用範囲は大幅に広がる。もちろん、PDAではなくPCでも同じ使い方ができる。
携帯電話での通信速度向上と料金の低廉化(定額化)、PDAやPCのバッテリ駆動時間延長や電源管理のさらなる高度化、異なるソフト間での通信手順や設定方法の共通化など超えるべきハードルは多い。しかし、日本ではPCとPDA、そして携帯電話やデジタルカメラのすべてを開発している企業がいくつかある。ソニーや東芝などがこうした環境を実現してくれないものだろうか。あ、私が知らないだけで、すでに実現されていたりして...

Posted by dmate at 2004年04月22日 19:58 | TrackBack
Comments

コンニチハ、Vins-Tです。Trackbackとコメントありがとうございます。

 そうですね、物草さまのエッセイは、シチュエーションを限定していますよね。でも、その限定されがシチュエーションが非日常かというと、日常そのものなので、まあ説得力はあるかな、と。

 別にどっちが優れているとかって言う話ではやっぱりないんですよね。理想は、あらゆるデジタルツールがシームレスにデータを共有できることです。どれで入力しても閲覧しても常に最新のデータが見れると理想です。

 あ、それから個人的にはPDAと携帯だと、僕は携帯のテンキー+予測変換の方が入力は楽です。親指キーボードタイプのPDAでもそれは変わりません。
 その辺は激しく人それぞれって言うことで(^^;

 このネタ、もう一度エントリするつもりです。良かったら読んでくださいね。

Posted by: Vins-T at 2004年04月23日 10:04
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