2004年03月29日

氾濫するエロ情報と失われる矜持

最近出張が多くなり、平均するとほぼ毎週新幹線か飛行機に乗っている。新幹線での時間のつぶし方といえば、「読書」「雑誌」「睡眠」「仕事」「ゲーム」といったところだろうが、今日のテーマは雑誌のエロ記事である。

雑誌にもいろいろあって、ここ数年で本当に増えたと思うのはパソコン関連の雑誌だ。新商品の紹介やテストなどの掲載された、比較的薄手の(それでも広告が多いためか全般に厚いのだが)ものに人気があるように思える。仕事に役立つオフィススイートの使い方なども載っているので出張の行き帰りにはちょうどよいバランスなのかもしれない。
もちろん、自動車や釣り、アウトドアやスポーツなどの趣味の雑誌も多い。どちらかといえば夜の移動に多いように思えるが、一仕事を終えた後で週末の予定に思いを巡らせるのは楽しい。タフな仕事の後であればなおさらのことだ。

そして当然圧倒多数が眺めているのが、いわゆる週刊誌だ。しかも男性ならば「週刊ポスト」「週刊宝石」やら「プレイボーイ」など、どちらかといえば軽目のものを多く見かける(ただしこれは単なる印象だ)。年齢層が低いと「SPA!」あたりや写真週刊誌も多い(なお、私自身はこれらの名前を挙げた週刊誌の内容には、決して良い印象は持っていないことは認める)。
私が毎回不思議でならないのは、こうした週刊誌につきものといって良いヌードグラビアや風俗店の記事などを人前で堂々と眺める神経だ。隣にいるのが親子連れだろうが、若い女性グループだろうが所かまわず広げる人(多くは中高年男性だ)というのがほぼ必ず見つけられる。特に子供の前で平然とエロ記事を読める人を見ると、情けなくなる。
先日の出張帰りに見かけたのは、3〜4歳ほどの姉と弟を連れた父親だが、子供をひざの上に乗せて「プレイボーイ」のグラビアやエロ記事を眺め続けていた。しかも彼が寝てしまってからは子供の一人が親の目を気にしながらヘアヌードのページをチラチラと見ていた。起きている母親が注意する様子すらなく、にわかには信じ難い光景だった。

これほどあけすけに性が語られ、情報が流れる社会にあっても、ほとんどのまともな人々は子供のいる家庭にはエロ新聞や雑誌は持ち込まないだろう。しかしながら、4歳のころからヘアヌードとエロ記事に夢中な父親の姿を見て育つ子供がいることも確かなのだ。
上記の家族だって、それが日常ではなくたまたまの家族旅行中に気が緩んだだけ、といえるかもしれないが、私の感覚ではその緩み方はあまりに不用意で子供に対して無責任だ。
小さなころからこうした歪曲された(だって、風俗店の紹介記事やら著名人の性癖の暴露だったりするのだから)性の情報にさらされた子供が、一律にろくな育ち方をしないなどということはいえない。あまり潔癖に育つのも問題かもしれず、少しならメリットもあるといえるのだろう。しかし、子供の個性や環境をみながら適切な情報の与え方をするのと、何も考えずに放置するのとは全く違う。
好きなものは好きだし見たいものは見たい、それは自然なことだが、家族の前ではもちろん、たとえ通勤電車内で周囲に知人がいなくても、守るべき矜持というものがあるはず。開き直ったようにエロ記事を読む人は、知らず知らずのうちに他の場面でも、誇りのない行動をしているんじゃないだろうか。

Posted by dmate at 2004年03月29日 20:12 | TrackBack
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