2004年03月19日

毎日書く難しさと床屋政談

weblogは毎日更新しなければならないものではない。
しかし、読者の立場からはなるべく頻繁に、しかも読んでおもしろい内容で更新されているのが望ましいのは自然なことだ。数日ぶりにアクセスしたものの、内容が全く変わっていないのでは期待外れだろう。となると、毎日更新するに越したことはない。
個人のWEBサイトはあくまでも趣味であり、いつどんな内容で更新し、あるいはサイトを閉鎖しようと作者の自由だ。しかし、書いて公開するという行為は読者を想定したコミュニケーションの形態であり、読者の期待に応えることもまた、サイト運営の重要な要素であると思う。

とはいえ、短い文章であっても毎日更新を続けるのは決して容易ではない。ニュースや他のweblogのエントリーを引用・紹介して気が向いたらコメントをつけるという形態であっても、素材を見つけ続けるには毎日の意識が重要だ(この手のサイトは私の好みではないが)。ましてや、ある程度まとまった文章を書き続けるのはテーマの選択・作文と推敲のためにかなりの時間を要する行為であり、傍で見ているほど簡単ではない。
それでも、ほぼ毎日、しかも相当量の読み応えのある文章を公開しつづけているサイトが少数ながらも存在する。それらを見ると、一体どこからこれだけの文章を生み出し続けるエネルギーが沸いてくるのだろうかと不思議に思うほどである。
おそらくこうしたサイトのオーナーには、伝えるべき言葉と文章への構成力が備わっているだけではなく、読者へのサービス精神が旺盛なのだろうと思う。読者や引用する他のサイトオーナーとのコミュニケーションを大切にするがゆえに、大きなエネルギーをサイトの更新にかけられるのだろう。

この文章を書き始めたところ、私が大好きなweblogのひとつである「blog::TIAO(http://blog.readymade.jp/tiao/)」でこんなエントリーが掲載された。
「ウェブログは言葉のゴミ箱じゃない」
決して長い文章ではないのでぜひ全文を読んでいただきたいのだが、なんといっても最後のフレーズが素敵だ。

もっと言葉を大切にしよう。それがウェブログの世界を面白くする鍵だ。

このフレーズで「しびれる」人はたぶん少数なのかもしれない。むしろこのエントリーを不快に感じる方もあるだろう。けれど、これは私が多くのweblogに感じていることでもある。

毎日書くことと、納得して書くことの両立は私にとっては容易ではない。
weblogは手軽にサイトを運営できるツールだが、手軽すぎるがゆえの落とし穴もある。毎日更新とスピードの優先が、結果としてはエントリーの質の低下に直結するのだ。
たとえば社会問題や政治、あるいは事件などの時事ネタをテーマとしたエントリーなどは要注意で、ともすると実にステレオタイプで独善的なものになりがちだ。
メディアの報道などによってあらかじめ”悪役”が作られてしまうために、あまり深く考えなくても強い言葉が書きやすいこともひとつの要因だろうが、「この程度で十分」という見切りが透けて見えるサイトが少なくないように思う。
自分で考えて伝えるべき事象をはっきりさせ、言葉と表現を選び取り、しっかりと組み立て仕上げてから送り出す。それは時間もエネルギーも要する行為だ。コミュニケーションを産み出すのは床屋政談や夕刊紙の陳腐な見出しではなく、伝えようとするこころなのだ。

Posted by dmate at 2004年03月19日 21:39 | TrackBack
Comments

blog::TIAOのMAOです。
メールでのご連絡、ありがとうございました。
早速訪問させていただきました。
春らしい、萌黄色の配色のカラーコーディネーションがキレイですね。ぼくは色の組み合わせが苦手というか、今一つ自信がない。

ぼくの記事を紹介していただきありがとうございます。
書く楽しさ、書く喜びというのがウェブログの基本にあれば、内容は自ずとついて来ると思うのです。
三日坊主で日記帳をまともにつけたことがない自分がウェブログを始めてから、書く喜びを覚えたのは、やはり何処の誰かの目に触れるということ、読んでくれた人からのフィードバックがあるということにつきる。

トラックバックについては最近、懐疑的な記事も多いようですが、それは使い方の問題で機能の問題じゃない。それと技術で何でもできるのだというような過度な期待があったからなんでしょうね。

伝えようという気持ちがあるから書く。
それくらいシンプルに考えていればいいと思うのです。

これからは楽しみにしています。
お互い頑張りましょう。

Posted by: MAO at 2004年03月22日 12:24

かつてはパソコン通信の会議室についても「匿名だから喧嘩が起きやすい」などといわれたものでした。
確かにその側面はあるものの、ツールによって人が行動を規定されてしまうという考え方は一面的にすぎる。
最近、私もトラックバック機能やweblogそのものが争いの元凶となるかのような記事をみましたが、ツールとのつきあい方においてナイーブにすぎるんじゃないかな、と思わされます。

いずれにせよ、MAOさんのコメントが、当weblogの第1号です。そもそもweblogを始めたのも、blog::TIAOがきっかけで、自分が「書く」ツールとして意識し始めたのです。
今後ともよろしくお願いします。

Posted by: dmate at 2004年03月22日 23:06

毎日書く難しさ。
確かにそれもあるのですが、書く楽しさというものもそこにあり、こうしたツールを手に出来たことは大きな可能性を開くのだと思います。
道具はそれを使う人の心構えや、修練といったもので、まったく違う結果を生み出すものです。
ようは自分が試されている、ということなんでしょうね。

「毎日」にこだわると辛くなるので、気分が乗ったときに、自然と言葉が浮かぶときに書くのがよいです。
先日は日向へ旅してきたのですが、非常に収穫が多く、こうした時は本当に書くのが楽しい。
自分の楽しさを誰かに伝えよう、伝えたいという気持ちがあるからですね。

旅とウェブログは相性がいいようです。

Posted by: MAO at 2004年03月24日 16:13
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