2005年03月14日

私たちは人材の半分を捨てている

なんのこっちゃ、と思われるタイトルかもしれない。
ようは、女性が活躍できない職場は、人材の半分を捨てているようなもの、ということ。世の中の半数以上は女性、それを活かすことをせずに”いい人がいない”などと嘆いていないだろうか。

1月の初めに定期購読を申し込んだHBR(Harvard Business Review)だが、予告通り3月号から自宅に届き始めた。
じつは、オンラインでは2月の終わりに読める状態になっていたのだが、せっかくなので雑誌が届いてから読み始めようと待っていた。到着は11日の金曜日。まず読み始めたのが43ページからの「Off-Ramps and On-Ramps: Keeping Talented Women on the Road to Success」。

冒頭の数字から驚かされるのだが、アメリカにおいても白人女性のMBAホルダーの実に3分の1がフルタイムの仕事に就いていないという。
高度に訓練されたプロフェッショナルを対象とした調査でも、仕事を離れている比率は男性の24%に対して女性では37%。男性においては子供の有無が優位な差となってい表れないのに対して、子供を持つ女性ではこの比率は43%にまで高まる。
著者による調査によると、男性はキャリアチェンジやスキルアップのために仕事を離れる者が多いのに対して、女性においては育児や年老いた両親の介護など、家庭の事情による退職が多い。
このあたりの事情は、日本ではさらに大きな差となっているであろうことは想像に難くない。

ベビーブーマー(日本でいえば団塊の世代)の引退時期が目前に迫っている。
これによって高度成長期の成功体験にこだわりバブルの反省をしない世代の重しが取れ、ようやく活躍の場が広がると喜ぶ者も少なくないだろうが、現実には有為な人材の量的な不足は避けられまい。具体的には、35歳から45歳のビジネスを中心となって動かす世代の人材不足を解決するためには、女性が活躍できる条件整備が不可欠であると本稿は指摘している。

その条件とは、家庭での役割を担わざるを得ない女性の環境を考慮した(本稿では、家庭内での役割分担にあり方には言及していない)フレキシブルな勤務形態に限らない。
その条件を選んだ者をさげすむ風土や、一度退職した者を二度と受け入れようとしない組織のあり方、あるいは職場における女性のネットワークづくりを支援することでより多くの女性が仕事での成功を求める環境作りなど、多様な側面に及ぶ。

育児休暇制度やフレックスタイム性を導入したからといって、女性が仕事を続けられるわけではない。
現状では、むしろ”環境が整ったのに、結局やめて行くではないか”という言い訳づくりに利用されているようにさえ感じられる。
繰り返すが、すでに人口の半分以上は女性である。彼女らを定型業務や補助業務に押し込めておいたままで人材不足を嘆くことは、経営者の、あるいは管理者の無策を示すだけ。大切なのは、企業や組織の将来を見据えた行動である。

Posted by dmate at 2005年03月14日 21:38 | TrackBack
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